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平成19年度日中研究交流会
中国・日本の農業構造改革の最新局面
―中国先進地農業の構造変化を通して日本の農業構造改革を考える―
 
  (財)農村開発企画委員会は、平成20年2月1日に虎ノ門パストラルにおいて日中研究交流会を開催いたしました。
  今回は、中国農村経済代表団2名、と研究交流委員4名及に「日中農業構造改革比較の視点−品目横断的経営安定対策を通じた構造改革を通して−」というテーマで、 報告していただきました。
 報告の概要は下記のとおりです。

■報告
  劉 志仁氏(中国国務院参事・中国農業部農村経済研究中心学術委員会副主任)
     「中国農政の現状及び今後の展望」

   中国では、農産物の生産量が伸び、農民所得も向上しているが、都市住民と農村住民の格差は拡大している。また、食料品価格が高騰している。こうした中、第17期党大会決定では「中国の特色を備えた農業現代化の推進」「農村インフラ整備の強化」「三農への優遇対策の継続」「農民の組織化と農業産業化」「新型農民の育成」などからなる農政十大方針を決定した。新型農民育成策は、農村からの出稼ぎ増による農業労働力脆弱化に対応するもので、新農村実用人材育成プロジェクト、出稼ぎ農民のUターン奨励、県郷の若い幹部の村への下放、大卒者への農村への就職促進などの対策がとられている。

 谷 口 信 和 氏(東京大学大学院教授) 
   「日中農業構造改革比較の視点
     −品目横断的経営安定対策を通じた構造改革を通して−」

   日本の農業構造改革は、その外見以上に、集落営農組織によって担われている。集落営農組織の役割をもっと高く評価する必要がある。ただし、集落営農を組織し、さらにそれを法人化するには、長い時間がかかることを想定して、構造改革プランを立てる必要がある。他方、慈渓市では大区画基盤整備圃場を前提に借地型・雇用型の経営を上から一挙に創出している鎮と、地元農家が徐々に規模拡大・経営多角化を進めている鎮がある。構造改革の手段と構造改革に必要な時間という点が、日中農業構造改革に共通する論点と言える。

 菅 沼 圭 輔 氏 (福島大学教授) 
    「15戸の農家調査事例からみた中国の新しい農民像と地域づくり」

   慈渓市の農業構造には2類型がある。1つは借地・雇用農場型、もう1つは個別規模拡大型である。前者の場合、荒地化の生ずるような総兼業化の進展のもと、耕地利用権は農家から村合作社に統一的に委託され、委託された農地に圃場整備を導入し、鎮外から借地型農場経営者を誘致して農地を貸し付けている。後者は、個別農家が兼業しつつも就農意欲の高い地域で、農地は友人・親戚関係で相対貸付されている。こうした慈渓市の実態から敷衍すれば、産地の課題として、地域の条件に対応した施策・計画の必要性、市・鎮・村のパートナーシップの必要性などを挙げることができる。

 南 裕子 氏 (一橋大学准教授) 
    「慈渓市大山村のむらづくりにおける農民像
       −山地農村の村落リーダーと地域づくり−」

   慈渓市の中でも山間地域に位置する大山村では、地域リーダーのリーダーシップのもとで、集団企業を軸とする地域的対応によって地域の発展を実現している。プラスチック工場の設立のほか、龍頭企業が中核となり、楊梅(山桃)など山の農業・自然資源を活かした農産加工および観光農業による地域づくりに取り組んだ。山を下りた青壮年層も、楊梅などの収穫期には山に戻って農作業を行っている。成功の背景として、大山村が市の政策の受け皿として適していたということもある。集団経済による地域の枠組みの明確さ、書記の先見性など、大山村の特徴は、市政府など外部からの資源を呼び込む上で有効な要素となった。

 張 安明 氏 (農山漁村文化協会) 
    「日中農業構造改革における共通課題
       −浙江省慈渓市の農地流動化と担い手形成の意義−」

   中国では、農業収益性の向上、生産物の安全性の確保、出荷規模確保などのため、農業経営規模の拡大が求められており、農地流動化の重点は100ムー以上の経営体形成におかれている。この中で、小規模経営農家が農業から排除される方向にあるが、村民小組所有という土地所有の枠組みが維持されている現状では、農地の貸し手となる小規模農家を農業振興策の中に位置づけなければ、農地流動化の推進が困難となる可能性が高い。従って、小規模農家を含む地域ぐるみの農業振興を目指す日本の経験は、大いに参考になる。

 
■研究交流会の模様


劉志仁氏の報告

今村委員(左)と劉光明氏

会場の様子

 

 
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